2006年08月23日

北の動物園できいた12のお話 旭山動物園物語 − 浜 なつ子 − vol.37

■一言で!
  旭山動物園の動物とそこで働く人たちの12のお話。

  小学生高学年くらいの子供向けに書かれた本だけど、大人が読んでも
 十分楽しめる。

  園長をはじめとして、動物園で働く全ての人が、「動物にとって、
 なにが一番いいのか」を考えた結果が、今の旭山動物園。

  本当に素敵な動物園です。この本を読んでから、ぜひ一度訪ねてください。



北の動物園できいた12のお話 旭山動物園物語
浜 なつ子
角川学芸出版 (2005/12/01)

■僕の感心
  僕がそうだなぁと思ったのは、園長の小菅さんの言葉です。

   「森を出たことが、ヒトの心に傷を作ったと思うな」 
 
  そう、僕たちは、「森を捨てたヒト」
  だから、自然に入った瞬間や虫や鳥や動物たちとつながった時に
 なぜか「ほっと」する。
  
  僕たちは、森を捨てて、周りの動物をみんな敵にしてしまったから、
 「クマさん 遊ぼ」と言っても、できない。
  動物園のいちばん大切な役割は、来た人に、にこにこ笑ってもらって、
 心の傷がほんの少し癒されること。
  
  いま都会には、ほとんど自然がない。この動物園を訪ねて、
 すこし不便になってもいいから、自然が戻るようことを考えてくれる
 子供たちが増えると、この国ももっと住みやすい国になるのになぁ。

 
 …★おまけ 念願かなって行って来ました!

   この本と『「旭山動物園」革命』の2冊を読んで、
  僕は旭山動物園に行きたいという思いが、どうしても抑えられずに、
  今年の夏に行ってきた。

   ペンギンもみました。ホッキョクグマもアザラシもみました。
   そして、多くの飼育係さんもみました。
   もぐもぐタイムという動物にエサを与える時間があるのですが、
  その時の飼育係さんの説明が、とても楽しい。



■こんな人にお勧めです!

 ・旭山動物園に行こうと思ってる人
 ・動物とのつながりを考えてみたい人
 ・森に帰りたいヒト

2006年08月03日

「しあわせ脳」に育てよう!  − 黒川 伊保子 − vol.34

■一言で!
  しあわせ脳を持つ人は、「頭もいいけど、それ以上に運がいい人」と
 いわれる人たちだ。
  
  子供をそんな「しあわせな天才脳」に育てることができたら・・・

  この本は、しあわせ脳を育てるための育児書。



■僕の感心
  いいねぇ しあわせ脳

  人口脳の研究家の黒川さんが、「生きた脳」(つまり子供ね)を手に
 入れたことから、しあわせ脳を育てる子育てに挑戦。

  いい脳とは、下の3つの力と知識工場が、どれもよく働いている脳のこと。

   無意識のうちに作動する「感じる力」 
   意識的に働かせる「考える力」    
   無意識と意識をつなぐ「直観力」   

  さて、脳育ての基本は、

   4歳から12歳までの「早寝、早起き、朝ごはん、読書」

  です。とっても単純ですね。

  これを脳育ての「金のルール」といいます。
  難しいことはできなくて、これだけを守って子育てをしても、結構な
 しあわせ脳を持つ子供になりそうです。
  
  その他にも、年齢別の「銀のルール」もたくさんあって、
 子育てをしている人には楽しく読める。
  
  15歳の誕生日が来たら、脳は、一応完成体。それまでの間は、
 楽しみながらしあわせ脳に育ててあげたいね。

 
 …★おまけ しあわせ脳を持っていそうな人

   僕の知っている人でも、しあわせ脳をもっていそうな人はいる。

   Webookの「松山しんのすけ」さんなんかはその代表的な人。
   しあわせ脳を持っている人のそばにいると、それだけで自分も
  しあわせな感じになるので不思議。

   まわりにいるしあわせ脳の持ち主を探してみよう。


■こんな人にお勧めです!

 ・15歳未満の子供がいる人
 ・子供をしあわせ脳の持ち主にしたい人
 ・自分がしあわせ脳をもっていると思う人(両親に感謝)

2006年07月07日

  さいごのまほう − 中島和子 − vol.21

■一言で!
  もうすぐ魔法が使えなくなる年老いた魔女のおばあさんは、
  最後の魔法として「いいもの」に変身したいと考えます。

  いろんなものに変身してみても、なかなか「いいもの」は見つかりません。
  花になっても、鳥になっても「いいもの」ではありませんでした。

  おばあさんは、最後にベンチに変身します。思いかけずベンチに変身して
 しまったおばあさんは、やっと「いいもの」をみつけました。

さいごのまほう
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■僕の感心
  年をとると魔法がつかえなくなる。おばあさんは、
 自分が魔女でなくなる日が近いことに気づき、みんなに
 「まぁ かわいい」、「とってもすてき」と言われるような
 「いいもの」に変身することをいっしょうけんめい考えます。

  花になってみました。
   でも、地面の冷たさはじんじん伝わってくるし、
   だれも気がついてもくれません。

  鳥になってみました。
   鷹に追いかけられ、散々な目に。

  魔女のおばあさんは町に行ってみることに。いつもなら魔法のほうきで
 あっという間なのに、歩いていかなくてはいけません。
  坂道をふぅふぅ言いながら歩いていると、後ろから小さな男の子が、
 背中を押してくれました。

  でも、疲れたおばあさんは、坂の上に座り込んでしまいます。
 男の子は、「ここにベンチべんちがあったらいいのに」と
 いつも思っていました。

  おばあさんは、泣きながら坂を登ってくる小さな女の子をみつけ、
 ちょっと座らせてあげようとベンチに変身します。

  おばあさんは、ほんとはベンチになりたかったわけではないけど、
 おばあさんのベンチの周りには、魔法のように人がたくさんやってきます。

  きっとおばあさんは「いいのも」を見つけたんでしょうね。
  
 
 …★おまけ 最後にひとつだけ魔法が使えたら

   そう言われたら、魔法をつかってなにをしたいだろう。

    アラジンは魔法使いのジニーを自由に! 
    おばあさんはみんなのためのベンチに!

   みんな、人に喜ばれることに最後の魔法を使ってることが
   多いみたいですね。

   僕は、そうですね。やっぱりなにかいいものを残したいけど
  なにがいいだろう・・
 
   なにが残せるか、ちょっと考えてみよう。



■こんな人にお勧めです!

 ・最後の魔法をつかってなにができるか考えてみたい人
 ・なにかを残したいと思っている人
 ・人からよくいい人と言われる人

2006年07月06日

  せかいいちうつくしいぼくの村 − 小林 豊 − vol.20

■一言で!
  すもも、さくら、なし、ピスタチオ。
  はる。 パグマンの村は、はなでいっぱいになります。

  この美しい村パグマン。この絵本の舞台は、アフガニスタン。
  でもパグマンの村は、戦争で爆撃をうけ、もう今はありません。

せかいいちうつくしいぼくの村
小林 豊
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■僕の感心
  主人公のヤモは、お父さんと初めて街に行きます。市場で、すももや
 さくらんぼうを売るためです。

  春は花でいっぱい。夏はくだものの甘い香り。こんな素敵な村でヤモは
 家族と暮らしています。
  でも、いつもくだものを売りに行くにいさんは、兵隊になって戦いに
 行っているので、小さなヤモがとうさんのお手伝い。
   
  小さなヤモは、なかなか大きな声で「パグマンのさくらんぼうはいかが」と
 いうことが、できませんが、やっと全部売ることができました。
  そんなヤモを、おとうさんは、にこにこ笑ってほめてくれます

  ヤモは市場で、ちいさなきれいな白いヤギを買ってもらいました。
  バハールと名づけました。「はる」という意味です。春にはにいさんが
 戦争から帰ってくるはず。

  でも、その年の冬、村は戦争で破壊され、今はもうありません。

  みんなの願いは、戦争から非難した人たちが帰ってきて、以前のように
 せかいいちうつくしい村になること。 
 

 …★おまけ 子供たちにも伝えたい

   小さな子供にはわからないかもしれないけど、戦争の痛々しさを
  この絵本を読んで聞かせたいと思いました。

   アフガニスタンの現状を伝える報道はたくさんありますが、この絵本は、
  ヤモ(子供)の目からみて書かれているので、子供といっしょに読んでも
  わかってくれるところが多い絵本です。



■こんな人にお勧めです!

 ・全ての大人の人
 ・戦争の恐ろしさをちゃんと考えてみたい人
 ・子供といっしょに考えてみたい人

2006年07月05日

はじめまして!10歳からの経済学 − 泉 美智子 − vol.19

■一言で!
  こんな楽しい経済学の本を子供にしか見せないなんてもったいない。

  「もしもお金がなかったら」
  「もしも銀行がなかったら」
  「もしも会社がもうけばかり考えたら」
  
  この本で、10歳に戻って、いっしょに勉強、勉強!


はじめまして!10歳からの経済学〈1〉もしもお金がなかったら
泉 美智子 サトウ ナオミ
ゆまに書房 (2006/03)

■僕の感心
  全部で3巻からなる経済学の絵本。僕は10歳(小5)の子供と読みましたが、
 タイトルのつけ方がいいから、子供ははじめから興味津々。

  (1巻)もしもお金がなかったら
    −もしもお金がなかったら(通貨の目的・役割)
    −もしもお礼がなかったら(紙幣と硬貨の併用)
    −もしも遊園地の乗物がタダだったら(適正なものの値だん)
    −もしも世界のお金が円だけだったら(国力、貿易・為替)

  (2巻)もしも銀行がなかったら
    −もしも銀行がなかったら(銀行の役割)
    −もしもローンがなかったら(ローンの役割)
    −もしもクレジットカードがなかったら(クレジットカードの活用)
    −もしも株がなかったら(株の仕組み)

  (3巻)もしも会社がもうけばかり考えたら
    −もしも“ロボパン屋”が個人商店だったら(個人商店の仕組み)
    −もしも“ロボパン屋”が株式会社になったら(株式会社の仕組み)
    −もしも“ロボパン屋”がチェーン店になったら(チェーン店の仕組み)
    −もしも“ロボパン屋”がもうけばかり考えたら(会社の利益)

  ねっ 大人でもちょっと読みたくなうようなタイトルでしょう。

  著者の泉 美智子さんは、「子どもとお金の教室」代表。
  http://homepage1.nifty.com/kihirada/sub16.htm
  なので、本の内容はいたってまじめな内容なのに、とても読みやすく、
 子供でもちゃんとに理解できる。
  
  子供と読む経済学の絵本としては、「レモンをお金にかえる法 」も
 好きですが、「はじめまして!」が一押しになりました。


 …★おまけ お店で大声で個人商店って言うなよー

    この本を読んだ後、子供と近くの酒屋さんに行ったところ、
   「この店は、個人商店だね」といきなり大声で・・
    大量生産・販売の店より、個人商店のほうがいいよねと話していた
   後なので、子供はもちろんいい意味で言ったんだろうけど・・



■こんな人にお勧めです!

 ・10歳の時にちゃんと経済について勉強しなかった人
 ・遊園地が無料だったらいいなーと思っている人
 ・子供を儲けばかり考える企業家にはしたくないと思っている人

2006年07月04日

  はっぴぃさん − 荒井 良二 − vol.18

■一言で!
  はっぴぃさんは、こまったことやねがいごとをきいてくれます。
  
  のろのろの男の子は、のろのろ歩いて、はっぴぃさんに会いにいきます。
  あわてんぼうの女の子は、あわててバスに乗って、はっぴぃさんに会いに
 いきます。

  ふたりのお願い事は、のろのろとあわてんぼうじゃなくなること。
  でも、はっぴぃさんには会えませんでした。

はっぴぃさん
はっぴぃさん
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荒井 良二
偕成社 (2003/09)
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■僕の感心
  まだ、あったこともないはっぴぃさんに会いに。

  別々に出発した男の子と女の子は、途中でも何度も出会いますが、
 お互いがはっぴぃさんに会いに行く途中だとはわかりません。

  はっぴぃさんがときどきくるという、おおきな石のまえで、やっとあのこも
 はっぴぃさんに会いにきたんだとわかります。
  そして、待ってもはっぴぃさんは、二人の前にあらわれません。

  二人は、自分のお願いのことを相手に話します。
  そして、
  女の子はのろのろの男の子にこう言います。
    「きっと のろのろは なんでもていねいだからだと おもうわ」
  男の子はあわてんぼうの女の子にこう言います。
    「あわてるのは なんでもいっしょうけんめいだからだと おもうよ」
  
  そっか
   のろのろはていねいなんだ 
   あわてんぼうはいっしょうけんめいなんだ
  
  こんな暖かいことばで、相手をわかってあげられる。
  読んでいてすごく暖かい気持ちになれました。


 …★おまけ 自分のはっぴぃさんをみつけよう

    欠点も見方を変えてあげると、すごい長所になる。

    普通、自分の欠点って、やっぱり嫌なものだし、なんとかして
   変えていこうと思ってしまうものだけど、たまには見方をかえて、
   自分の欠点を長所としてみてあげよう。



■こんな人にお勧めです!

 ・ぱっぴぃさんにお願い事がある人
 ・絵本を読んで、暖かい気持ちになりたい人
 ・欠点を長所としてみてみようと思った人

2006年07月03日

  パパのカノジョは − ジャニス レヴィ − vol.17

■一言で!
  「カッコいい」「カッコわるい」ってどんなこと?

  パパの新しいカノジョと主人公の女の子との微妙な関係を描いた絵本。
  媚びたりしないで、女の子を一人の人間として扱ってあげるカノジョは、
 やっぱり「カッコいい」です。

  僕は、絵もとっても好みでした。

パパのカノジョは
パパのカノジョは
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ジャニス レヴィ Janice Levy Chris Monroe もん クリス モンロー
岩崎書店 (2002/01)
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■僕の感心
  パパのあたらしいカノジョは、すごくかわってる。すごくカッコわるいんだ。
  パパはカノジョをスイートポテトちゃん、なんてよんでるけど、わたしは
 なんともよばないもんね。

  カノジョのことを、こんなふうにみている女の子。
  それでも、
    わたしのはなしをテレビをけしてきいてくれる。
    あたしがうまく話せないときでも、くちをはさんだりしない

  だんだんに、二人は心を開いていきます。

  カノジョは、女の子のことを、すごくカッコいいと思っています。

  でも、最後まで

    いまんところ、ちょっといいセンいってるかもね。

  というクールな付き合いは、かわりません。

  そうなんだよね。 だれも、無理しなくってもいいんだよね。

  だから、
  でも、いままでのカノジョたちより、いちばん長つづきしている・・・。


 …★おまけ 大人の絵本はなかなかみつけられない

    大人が読んでたのしい絵本ってなかなか見つけられない。
    僕の家は、子供が2人いるのと、奥さんが保育士だったりするので、
   絵本は結構あるのですが、なかなか気にいった絵本がない

    まぁ、絵本は子供用に書かれているのが普通なので、しょうがないですが、
   たまにこうやって大人用?絵本をみつけるととてもうれしくなります。
    
    この本は、表紙の絵をみて、おっ!ときました。



■こんな人にお勧めです!

 ・大人が一人で絵本を読んだっていいよねと思っている人
 ・「カッコいい」「カッコわるい」ってどんなことか知りたい人
 ・本の表紙をみて、おっ!と思った人